2022年4月20日、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)アズハイム三鷹(東京都三鷹市)と新卒のみなさんをZoomでつなぎ、2022年度新新卒入社時研修「アズハイムのリハビリ」を行いました。
毎年この研修を行う前、自分が22歳のルーキーだった遠い過去を振り返りながら、新卒研修時の心情を思い出してみています。
私は22歳の時、当時の会社の新人研修を三浦海岸(神奈川県)で何泊かして行いました。
覚えているのは「海岸で挨拶10大用語(当時の会社規定)を張り叫ぶ」です(笑)。同期とのつながりが強くなったということも覚えています。その時の事を鑑みつつ、ここ数年の経験で「どんな話なら参加メンバーが興味を抱けるのか?」過去の新卒のみなさんのおかげで、毎年構築されてきています!
【前半】ご入居者は、みな違う
まず冒頭行うのは自己紹介。当たり前の流れですが、できるだけ当社のキーワードである「ナラティブ」が伝わるように実体験を説明します。そして会社の方針、リハビリの定義というお堅い?話からブルーコメッツや、故・淡谷のり子さんといった音楽の話まで、新卒のみなさんのお話も聴きながら進めていきました。この辺は興味が薄れるところかもしれませんが、敢えてそこに興味を持ってもらいます。(今年の新卒のみなさまにいただいた発言は誠実な返答でしたし、笑いも多少頂けていたかと思います!)
ここで大事な事は「ご高齢者の先輩方は、今の若い方と常識が違う」ということ
それを様々なスライドを使って分かって頂くのが、まず仕事の始まりなのだと思うのです。そしてそれと同時に大事なのが「幸せ」の感じ方もまた違うのだ!ということです。昨今の幸福度ランキングとは?など話しながら、いよいよ参加者の発言もほぐれてきて、挙手も頂くこともできました。(毎年思いますが、対象者の能動的な姿勢は本当に嬉しいですよね!)
【後半】できるADLの発見
さて後半です。時間は午後12時前お腹が空きます。当然、集中力が散漫になりやすい時間です。ただ「もう少しでお昼だ!パワー!」はとても利便性が高いです。
「しているADL」と「できるADL」
前半に比べると後半は専門性の高いお話となりますが、私としては「心がいかに動くか」を重要視していますので、専門性は控えて「実体験に基づいた想像」をしていただくことに重点を置いています。具体的には「大声を出す」「普通に声をだす」という体験を実際に全員で行い、「しているADL」と「できるADL」の説明をしていきます。(お昼後だと眠気覚ましにもなります(笑)。)
新卒のみなさんに「しているADLとできるADLで身近な例ありますか?」と問いました。
「漢字を変換するときにPCを使わないで考える」「電話番号を携帯を使わないで覚える」「腹筋を30回する」「(ご入居者ならば)食事でスプーンや箸など持てるものをもつ」…回答者からはなんとも発想豊かなご意見を頂けました!
もう一つは“動作分割“について
動作分割とは、複合的に合わさる運動の要素をそれぞれ分割し、時系列に並べることです。実際に実例を出して説明をしました。新卒のみなさまは「ふむふむ確かに」のような表情でうなづいていました。ここまできたら、新卒のみなさんにも実際にADLの動作分割を行ってもらいます!
例として、「食事動作」「トイレ動作」です。今年の新卒のみなさんはとても発想が柔軟で、マニアックな分割をしていました。例えば、食事動作では「リビングにいたのでまず立つ」「(食べる前に)口を開ける」「目で食べ物を認識する(ハンバーグ)」「お母さんからご飯できたよ!と言われたのを聞いて動く」
トイレ動作では「トイレに行きたいと思う」「トイレにいきたいと思ったけどまだ行かないでいる」「腹筋に力を入れる」「膝までズボンを下げる」「紙を自分の必要と思う長さで切る」
…新卒さんの「食事」「トイレ」動作分割、なかなか勉強になります!
まとめはやっぱり“お客様の幸せ”
最後に少しだけ専門用語として「運動制御」「運動学習」の2ワードを提示しますが、それは今日行った講義のまとめとしてです。
やっぱり大事なのは新卒のみなさんがご入居者・ご利用者のことを大事に考え、それをどのようにサービスに繋げ幸せを得るかです。
まとめには、「現場でお客様ができることをできた時、とても嬉しい顔をするので、それを励みにやりがいをもって」という一番大事なことを伝えます。その時の新卒のみなさんの顔は、心なしか引き締まったような良い顔をしている方が多かった気がしました。
研修参加者の声
■動作を分割して考えることで、普段の自分の行動も多くの動作を流れとしてやっているのだと実感しました。その多くの動作が、ご入居者にとって重要な「生活リハビリ」になっていくということを学びました。
■今まで自分が思っていたリハビリとは、訓練に含まれているものだけでしたが、それだけでなく日常に多くのリハビリが存在していることを認識することができました。価値観が違うことも念頭に置きつつ、継続をしていくことが大切であると実感しました。
研修担当者の声
今年も無事研修を終えることができ、安堵しています。「Z世代」という言葉もありますし、時代背景によってもちろん変化しているのでしょうが、何か言葉には表せない毎年共通の感覚があります。それは「初々しさ」「可能性」という新人を形容するための言葉として、いささか色あせた言葉でも表せるのですが、もっと違う感覚です。その感覚はとても嬉しい気持ちにさせてくれるもので、中途入社時研修での達成感ともまた違う感覚です。
「初心忘れるべからず」と昔の人はよく言ったもので、発動性をもらえた日となりました。
令和4年度の新卒のみなさま、これからよろしくお願いいたします!